2017.11.25〜2018.1.8「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」板橋区立美術館
板橋区立美術館美術館で開催された展覧会、「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」の最終日に私は観にいった。板橋区立美術館へ行くのは初めてだった。小雨のそぼ降る寒い日だった。地下鉄成増駅で降り、東上線成増駅南口バス停から満員の都バスに揺られることしばらく。「区立美術館」でだれが降りるかは、服装でだいたいわかった。
ちいさな美術館は人であふれかえっていた。私は職場の先輩がゆずってくれた招待券をにぎりしめ、チケット売り場をスルーし、2階の展示室へ吸い込まれた。私はタラブックスの人たちがつくった絵本のことを知っていたのか、知らなかったのかが明確には思い出せない。どこかで手にした気もするし、そうでなかった気もするが、どの作品も初めて観る気がしない。壁という壁、空間という空間にひしめくように飾られていたのは、絵本と、その原画の数々。ドキュメンタリー映像や、民芸品。インドの地方を写した写真などもあった。
タラブックスは、インドのチェンナイという街にある。ときにはインド国内の民俗芸術家とよばれる人たちを取り込み、絵本をつくる。エスニックな絵柄には既視感もおぼえるが、その色使いの見事さと力強さはとにかく圧倒的。紙を漉くとか、インキを練るとか、刷り工程、製本工程も、映像でみることができた。創設者のギータ・ウォルフと、合流したV.ギータの対談が図録で読める。会社としても魅力的すぎる、タラブックスの本を、私は少しずつ手元にあつめたい。