真昼の月

そんな私は平成生まれ

ピアスの穴をあける

耳に挟むだけのイヤリングは、気づいたら片方なくしていた、なんてことがザラにありそうで、いまいち積極的になれない。結婚式に出るのに、安いコットンパールのイヤリングを買ったことがあるけど、2回目の出番で片方なくなった。ほら見ろ。お化粧室に行くたびに、鏡を確認していたのに。なにしろ安物なので、まったく痛手ではない。でもとびきりのお気に入りを手に入れたとして、それをなくしたとして、なんて想像しただけでも鳥肌が立つ。だから私の耳はいつもさみしい。

4月のこと。「ピアスをプレゼントしたい」と言われたので、「ではそろそろ穴を開けましょうかね」と答えた。ピアスだってなくすときにはなくすだろう、けれど、イヤリングの方が断然なくしやすいと私は決めつけている。彼はとてもうれしそうに私をジュエリーショップへ連れていった。私がかわいいと思ったものは、彼のお眼鏡に敵わなかったようで、ほかのものを提案された。それは別に嫌ではない。私がかわいいと思うものは、必ずしも私に似合うとは限らないから。 

そんなこんなで手元にやってきた、素敵なダイヤのピアス。埃がかぶるころ、慌ててはたき、リボンをほどかないようにして箱を開ける。よしよし、ちゃんと一対そろっているね。そうしてまた蓋をかぶせて、リボンを元どおりに掛け直す。それを何回か繰り返したら、5ヶ月も経ってしまった。やっとあけに行くよ。明日ね。